ホームショップつげでは、石油機器技術管理士として日々、暖房機器のメンテナンスと修理を行っています。
今日は、実際の修理事例から「不良灯油」の危険性についてお話しします。
🔍 この黄色い液体、何だと思いますか?

上の写真をご覧ください。この、ペットボトルに入った液体。何の液体だと思いますか?
答えは「不良灯油」です。
本日、「石油ストーブに火がつかないので見てほしい」という修理依頼を受けました。
芯を見て、その後タンクの中の灯油を調べてみると、この黄色い液体が入っていたんです。
⚠️ 本来の灯油は「無色透明」です
多くの方がご存じないかもしれませんが、正常な灯油は完全に無色透明です。
この写真のように黄色く変色している場合、それは**劣化が進んだ「不良灯油」**のサインです。
不良灯油の特徴:
- 黄色〜茶色に変色している
- 独特の酸っぱい臭いがする
- 粘度が高くなっている
🔧 今回の修理事例:昨年の灯油を使用していた
タンク内の不良灯油を確認し、芯の状態も確認しました。
結果:芯の上部がカチコチに固まっていました。

実施した修理内容:
- 芯交換
- タンクの完全洗浄
- 本体内部の清掃
修理完了後、お客様にご連絡し、写真をお見せしながら状況をご説明しました。
あらためてお話を伺ったところ、**「昨年の灯油が残っていたので、もったいないと思って使ってしまった」**とのことでした。
📖 不良灯油についての重要な注意点
お客様には、不良灯油についての注意喚起パンフレットをお渡しし、以下の点をしっかりとご説明させていただきました:
1. 古い灯油は絶対に使わない
前シーズンから持ち越した灯油は、たとえ少量でも使用しないでください。
2. 必ず今シーズン購入した灯油を使う
毎シーズン、新しい灯油を購入して使用することが基本です。
3. 不良灯油使用後は再発のリスクあり
**重要:**不良灯油を使用した場合、芯を交換した後でも、すぐに芯がダメになることがあります。
そうなると、また芯交換が必要となり、修理費用もかさんでしまいます。
🛢️ 灯油が劣化する原因とは?
灯油は、以下のような条件で劣化が進みます:
- 紫外線:直射日光に当たると劣化が早まる
- 高温:暑い場所での保管
- 酸素:空気に触れることで酸化する
- 時間:長期間の保管
- 水分:水が混入すると劣化が加速
💡 石油ストーブを長持ちさせる秘訣
「そのシーズンに購入した新しい灯油を使用すること」
これが、石油ストーブを長持ちさせる最も重要なポイントです。
正しい灯油の管理方法:
- シーズン前に新しい灯油を購入する
- 直射日光を避けて保管する
- 専用の灯油缶を使用する
- シーズン終了時には使い切る
- 万が一シーズンを持ち越してしまい、残った灯油は使わずに処分する(ガソリンスタンドで引き取ってもらえます)
👨🔧 石油機器技術管理士からのメッセージ
私たち石油機器技術管理士は、修理に持ち込まれた機器を拝見する際、お客様にお話を伺って、ある程度の仮説や当たりをつけます。
その上で実物を確認するのですが、不良灯油かどうかは、ほぼ一発で分かります。
お客様の反応は様々
不良灯油が原因だとお伝えすると、多くのお客様は「そうなんだー!知らなかった!次回から気を付けますね」等と理解してくださいます。
しかし、ごくまれに以下のようにおっしゃる方もいらっしゃいます:
- 「そんなはずない。うちは新しい灯油しか使わない」
- 「じゃあガソリンスタンドが悪いの?」
そこで私たちにできること…
正直なところ、上記のようにご指摘いただいた際、
購入先に問題があったのかどうかを、私たちが判断することはできません。
私たちにできるのは、お預かりした石油ストーブの現状を、実際に確認したうえで判断することだけです。
明らかに不良灯油が原因と見られる場合には、その事実をお伝えすることは可能です。
しかし、その不良灯油が「なぜ発生したのか」という原因については、
お客様から伺った情報をもとに“可能性”をお伝えすることしかできず、
確実で明確な原因を特定してご説明することは難しいのが現状です。
そのため、私たちがお伝えできるのは次の点になります。
- 不良灯油が不具合の原因であったこと
- 同じ灯油をご使用の場合、修理したばかりのストーブが再び同じ状態になる可能性があること
- 保管中の灯油が不良灯油と思われる場合は、使用せず処分していただいた方が良いこと
灯油を無駄にしたくないお気持ちはよく分かりますが、
その灯油を使用することで再び故障し、結果として修理代がかさんでしまう可能性があります。
古い灯油の処分については、ガソリンスタンドなどで引き取ってもらえる場合が多いので、
一度問い合わせてみると良いでしょう。
できれば、春先のシーズン終わりに灯油を使い切っていただくことをおすすめします。
結果的に、シーズンに入ってから新しい灯油を購入して使う方が、はるかに経済的になるからです。
📊 不良灯油による故障が増える時期
特に、シーズン初めの11月〜12月にかけて、「火がつかない」「臭いがする」といった不良灯油関連のトラブルが急増します。
これは、前年の灯油を使い始める時期と重なるためです。
当店では、年間を通して修理を行う体制をとっておりますが、年末間際になるとメーカーが長期休暇に入り、部品の供給がなくなってしまう事があります。
出来れば、12月の中旬くらいまでに修理・芯交換にお持ち込み頂けますと安心して年末年始をお過ごしいただけることと思います。
✅ まとめ:安全で快適な冬を過ごすために
石油ストーブを安全に、長く使い続けるために、以下のポイントを守りましょう:
- 必ず今シーズン購入した灯油を使用する
- 前シーズンの灯油は使わない
- 灯油は正しく保管する
- 黄色く変色した灯油は絶対に使わない
- 定期的なメンテナンスを行う
この冬、皆さんが安全で快適に暖房をお使いいただけることを願っています。
ご不明な点や、石油ストーブの調子が悪い場合は、お気軽に石油機器技術管理士にご相談ください。
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